ウッドショックと日本人の物の考え方について
ウッドショックと日本人の物の考え方について
日本国には植林した人工林が毎年1億立方増えています。使用量は年間6千万立方です。と言う事は4千万立方余っているのです。それで木材価格が急上昇するのです。凄くおかしな現象ですね。
40年昔の在来工法は芯持ちの国内産の針葉樹(ヒノキ・スギ)の柱で住まいが出来ていました。最近の住まいは外国産材針葉樹(ホワイト・レッドウッド)の集成の柱です。1本の柱を作るエネルギー効率は国内産『鋸を4回通したらできます』の方が遥かに優位です。集成材の柱の方は『原木を板にしてそれを割り返し、糊で剥ぎ合わせて作ります』小生の経験から考えると、後者は最低5倍以上のCO2を出していると思います。
昨年まで外国産材を安く買えたが、コロナの悪影響の為に買えなくなったとネットに掲載されていますが、全てがコロナの為では有りません。コロナによって加速されただけです。
発展途上国の経済発展に欠かせないのはハイテク関係だと思われますが、生活の3要素(衣・食・住)の中で最も安全に暮らすためには木材資源が大事です。
中国・アメリカのバブル的な経済活動の再開も勿論ですが、東南アジア・中東等に出かけた方はご存じだと思いますが、物凄いスピードで東京の様な町が数多くつくられています。内装には木製品が多く使われています。世界的に木材資源は需要の方が多いのです。
今回の一連の動きは世界的に木材資源を含めた生活必需品に対する日本人の呑気さが災いしたのかも知れません。下記はヒノキ原木価格です。
1980年、ヒノキ原木(長さ3メーター・直径14~22センチ)の価格は立方76,400/㎥でした。
2021年は、立方17,600/㎥です。この有様で林業が成り立ちますか。
小生は1980年愛知県に有る東海木材相互市場の名古屋市売り木材で3年3か月お世話になりヒノキ・スギを販売していました。当時の売り上げは360億以上でした。現在は150億以下です。
為替が360円から100円になったから仕方がないと皆さんは言いますが、外国産材は当時の価格から1/3にはなっていません。価格は1980年と2020年を比較すると為替分下がっていない事を強調しておきます。
何故国内産から外国産に大きく樹種変更したのでしょう。色んな要素が有ります。真壁工法から大壁工法になった。プレカットの効率化の為に無垢柱から集成柱になった。理由は複数ですが、
小生が最も思う事は現在の日本人に最も不得意な『理念』が不足している状況だと思います。
理念とは、ドイツ語でイデーとも言う。理性によって得られる最高の概念をさす。
どのようなお陰で日本人が存在している。降水量の多い事に対する感謝。四季が有る事に対する感謝。北は北海道から南は沖縄迄有る事の感謝。まだまだ多くの自然界からの恩恵で我々は2000年以上繁栄させて頂いているのです。
人間は毎日生活をします。その為に仕事に励みます。その恩恵に対して報酬を得ます。その恩恵と日本人がベストミックスな生活をする事が理想です。
ところで30年間継続されてきたグロ-バル化の負の面が出たのが今回の新型コロナウイルスのパンデミックではないでしょうか。昔歌われた三波春夫の歌(世界の国からこんにちは)の通り世界は1つに結びついているのです。
アメリカ・イスラエル等の一部の国だけがパンデミックから脱出しても『日本も含めて世界中の国が』本当の幸せが来ないのです。それが手に取る様に理解出来たのはないでしょうか。
日本には四季が有る。降水量が豊富である。四方を海で囲まれている。暖流と寒流が流れている。温帯に属している。以上の恩恵は、美味しい食材を生みます。そして優秀な人を育みます。争いを好まない民族を生みます。素晴らしい事だと思います。しかも民主主義を選択しています。
日本の様な恵まれた国は世界中で少ないのに、国別幸せ度では日本は非常に低いのです。何故か、それは先ほど述べましたが、理念が無いからだと小生は思います。
日本列島には国民を幸せにする自然は豊かです。その豊かさを享受する為には、日本人らしい生き方は必ず必要です。それはグローバリゼーションとの調整と申しましょうか、知恵が必要だと思います。
理念は知恵が無いと生まれません。その為にも今回のウッドショックに対応しようでは有りませんか。
住まいの建て方を昔から続けている芯持ち柱で建てる工務店さんが決してモデルでもありません。対応方法は無数にあると思います。小生は工法に関しての知恵も無ければ知識も有りません。
小生は日本の山の生み出す価格が下がった事だけに着目します。日本の人工の森林は主に柱を生産する方法を過去選択してきました。それが行き詰まっているのだと思います。本来木には人間が考える以上に用途が有ります。CO2をO2に変える効能。土砂崩れを最小限にする効能。水を貯める効能。色んな用途に使える効能。森林の恩恵はお金で買えない崇高なのです。その崇高な木材資源を安くし過ぎた責任は日本人全員の責任だと思います。
ウッドショックが収まるのは6月なのか、9月なのか、12月なのかは解りませんが、価格が上がり過ぎた材は必ず調整がされますが、2020年後半の安い価格には戻らない方が良いと考えています。今回のウッドショックによって外国産材から国産材に回帰することに拍車がかかると思います。この事で国内の森林の価値が見直され、日本の森林を育成する為に必要な価格で維持される事を望みます。
木に携わる方は色んな方がいらっしゃいます。住まいの建て方も色々『軸組み工法の方、ツーバイフォー工法の方、鉄と木材を合わせて使用する方、等』有ります。又直接建築に関係しない服部商店の様な会社も有ります。
要はウッドショックを一過性とみなさず、安定した日本国の成長の為には日本の森林の価値を安定して維持管理する事も大事な仕事です。そういう考え方で行動する材木関係者を育てることが、我々の責任ある行動が求められていると思います。
理念の感覚が薄い日本人に、我々材木業界の人間は先頭に立って崇高な理念を持つ木材の使い方をして頂きたいと思います。
これからも服部商店の材は崇高な理念とSDGsの考え方を取り入れて商品を作って行きます。